【vol.01 東北文化学園大学×SeSA】産学連携型インターンシップ eスポーツ情報発信プロジェクト
私は、東北文化学園大学の産学連携型インターンシップ「eスポーツ情報発信プロジェクト」に参加する経営法学部2年の千葉です。仙台eスポーツ協会と東北文化学園大学が連携し、eスポーツに関する情報を発信するためのインターンシップが実施されると聞き、参加しました。
一般社団法人仙台eスポーツ協会では、eスポーツを活用した高齢者のフレイル予防や障害者の方々が使いやすい専用のゲームコントローラーを開発されるなど、地域の社会的課題の解決に向けた取り組みを、様々な企業・団体と連携して進めていらっしゃるとお聞きしました。
これから約半年間、このプロジェクトに参加する学生7人は、これらの取り組みを地域の皆さまに広く情報発信できるよう頑張って参ります。よろしくお願いいたします。
第1回:仙台における「eスポーツ」市場の可能性と課題を探る。
~プロeスポーツプレーヤーから経営者へ。仙台でeスポーツ施設を運営する株式会社バサラの堀田社長にお聞きしました。~
■取材者
東北文化学園大学経営法学部2年 千葉駿佑
今まで、私はeスポーツと聞くと、海外のプロプレーヤーが高額な賞金を獲得したり、東京で大規模な大会が開催されたりといったイメージがありました。また、eスポーツに採用されているゲームタイトルを自宅でプレーすることはありますが、地元・宮城県には関りがないものと考えていました。しかし、このインターンシップに参加して地方からeスポーツを盛り上げようと活動されている経営者の方がいらっしゃるとお聞きし、仙台市の中心商店街一番町にある仙台フォーラス内で「eスポーツ施設BASARA」を運営されている堀田社長を訪ね、様々なお話をお聞きいたしました。
【堀田社長とeスポーツの関わりについて】
―― 堀田社長とeスポーツの関わりについて教えてください。
私の前職は料理人であり、東京で働きながらアマチュアのeスポーツチームに所属してプレーヤーとして活動していました。その当時は、大会の上位入賞を目指して練習に明け暮れており、自宅と職場の往復といった日々の生活でした。その成果もあってアマチュアチームとしては初めてプロチームを破る実績を上げ、プロ契約を勝ち取ることができました。しかし、どれほど熱中していても深夜1:00以降は睡眠時間に充てるなど体調管理には気を遣っていましたね
―― 堀田社長における「eスポーツ」とは。
私は、eスポーツとは「容姿や人種、性別など問わず、どのような人とも隔たり無く繋がることができるコミュニケーションツール」だと考えています。 以前所属していたeスポーツチームに、対面のコミュニケーションを苦手としながらも、オンライン上では流暢にコメントしながら他のプレーヤーとコミュニケーションされていた方がいました。その時、私はどのような方でも、eスポーツを通して人と繋がり、活躍することができると感じました。その想いは、今も私の活動の原点となって
―― このeスポーツ施設を立ち上げた経緯を教えてください。
学生時代を過ごした仙台でeスポーツを盛り上げたいと考えていた頃、一般社団法人仙台eスポーツ協会の立ち上げに関わるとともに、仙台にある専門学校でeスポーツ学科の講師を務めることになりました。次第に様々な事業を起こしたいと考えて2020年に株式会社バサラを起業し今に至ります。なお、この施設は2020年8月に開設し約2年が経ちました。
【eスポーツ施設「BASARA」ついて】
―― eスポーツ施設「BASARA」にはどのようなお客様が来られますか。
当施設は、仙台フォーラス6F「マンガ・コワーキングスペースRakuuu」の一角に設けています。従って、お客様は漫画や雑誌を読んだ後にゲームを楽しむことができるシステムとなっています。
お客様の多くは、平日の夕方以降や休日にご来店されます。当施設には常設6席設けておりますが、一度着席されたお客様は長時間プレーされる方が多いです。客層は「eスポーツを気軽に体験してみたい」といったライトユーザーの方が多いですが、中には1ヶ月程度の出張で仙台に来られた社会人の方が、仕事終わりにプレーするために毎日当施設を利用くださったコアなユーザーの方もいらっしゃいました。また、所属大学にeスポーツのサークルを立ち上げるべく情熱を持って活動している大学生の方などもいらっしゃいました。
―― eスポーツの大会などを開催されているのですか。
100人規模の大会を運営した経験があります。しかし、感染症対策のため参加者を限定した大会運営でした。早く、コロナ禍が明け制限の無い中で大会運営をしてみたいですね。
―― eスポーツでは、企業によるスポンサードの話を良く聞きます。BASARAではどのような支援を受けておられるのですか。
当施設では、PCメーカー様等からスポンサードを受けていません。その理由は、スポンサードを受けると、お客様の来店数や回転率など厳密な店舗管理が求められ、「eスポーツを盛り上げるための仙台における拠点づくり」を掲げて運営している当施設の理念に合わないからです。売上を上げることがばかり考えて店舗運営すると、お客様にご満足いくまでeスポーツをプレーいただくことが難しいと考えています。
【株式会社バサラにおける他の事業展開について】
―― eスポーツ施設「BASARA」以外に、どのような事業を展開されていらっしゃいますか。
当社では、他にプロeスポーツチームの運営や市内の不動産会社様と連携したゲーミング賃貸物件の提供などを行っています。
現在eスポーツチームには、7~8人のメンバーが在籍しています。チームの運営には様々な活動費が必要となるため、ここは様々な企業様からスポンサー支援を頂きながら活動しています。
eスポーツの対象となるゲームタイトルは数多くあり、そのタイトルごとにプレーヤーやファン、スポンサー企業が異なるためチームの運営は大変です。例えば、サッカー、バレー、バスケットボール、テニスなど様々な競技を同じチームで運営しているものとイメージすると分かりやすいでしょうか。従って、当チームでは、ゲームタイトルを3種類に絞っています。
また、当チームの最終目標は大会の勝利ではありません。もちろん、大会で上位入賞を目指して各プレーヤーが頑張っているのですが、様々な方々にeスポーツの魅力を感じて欲しいと考えてチームを運営しています。先日、宮城県七ヶ浜町が主催したスポーツ大会には「ぷよぷよ」を専門とする当チームのプレーヤーが講師となり、参加された親子に競技のコツや面白さなどをお伝えしました。
【仙台におけるeスポーツの可能性と課題について】
―― 今後eスポーツ市場を広げるためには、女性ファンの獲得が必要ではないか
確かに、その通りですね。BASARAに来店されるお客様は、ほぼ男性の方です。女性のeスポーツファンの方に話をお聞きすると、兄弟や彼氏など身近な人がeスポーツをプレーしていたことがきっかけであることが多かったです。
また、最近はアイドルグループのゲーム実況配信をきっかけに、eスポーツに興味を持った方も増えているようです。正直なところ、今のところ仙台ではそのような展開は難しいかなと考えています。
――仙台でeスポーツを盛り上げるためには、どのような取り組みが必要であるとお考えでしょうか。
eスポーツの普及のためには、他のスポーツ競技と同じく「プレーヤー層」と「ファン層」ともに市場の裾野を広げていく必要があります。そのための特効薬は無く、地道な活動の積み重ねが必要だと考えています。
また、まだまだ10~20代といった若年層の方々にしか理解が進んでいない市場でもあります。私は、eスポーツを「単なるゲーム」としてではなく、観光促進から医療・福祉との連携、社会復帰支援に至るまで、様々な社会課題の解決に繋げることができる競技であると捉えており、その競技の「社会的意義」について多様な世代の方々へ啓蒙していく必要があると考えています。
――宮城県内の学校(大学や高校等)においても、徐々にeスポーツ関連の部活動や愛好会が立ち上がっているようですね。
仙台市内にある大学のサークル立ち上げにアドバイザーのような立場でサポートした経験があります。その時は、eスポーツに関心のある学生さんがサークルを立ち上げるべく熱意を持って取り組んでいました。その時は、サークルの活動目標や内容、役割分担などを明記した計画書を作成するために、当施設で打ち合わせを重ねました。
ご協力ありがとうございました。